スペシャルトーク

インフルエンサーマーケティングが脚光を浴びる理由とその影響力 〜鳩山玲人 × 鎌田和樹〜


鳩山玲人 × 鎌田和樹スペシャル対談【前編】

今、世界中から関心を集めているインフルエンサーマーケティング。大手の出版社や芸能事務所なども、次々に事業化を進めています。しかし、なぜ今、インフルエンサーマーケティングが脚光を浴びるようになったのでしょうか。そして、その効力はどれほどのものなのでしょうか。2013年にHIKAKINの活動をサポートする形でスタートした当社代表の鎌田和樹と、元サンリオ常務取締役で現在当社のアドバイザリーボードを務める鳩山玲人が、その構造を解き明かしていきます。

 

インフルエンサーが生まれる背景にある「ソーシャルプレッシャー」とは?

最近、インフルエンサーマーケティングという言葉が急激に使われるようになってきました。UUUMは設立時からやっているので、ようやく一般的になってきたというのが率直な感想ですが、言葉だけが先走りして実体の理解が進んでいない面もあるような気がしています。そこで、そもそもインフルエンサーマーケティングとは何か、なぜ今注目を浴びているのか、鳩山さんと話す中で明らかにしていきたいと思っています。よろしくお願いします。

はい、よろしくお願いします。インフルエンサーマーケティングは、実を言うとかなり古い言葉なんですよね。1940年代から使われていて、当時は政治の世界で影響力を民衆に伝えていくための手法でした。最近は、多数の消費者に大きな影響力を発揮するキーパーソンが、ブログやSNS、メディアなどで商品やサービスを紹介する手法を指すようになってきました。

そのキーパーソンが、インフルエンサーと呼ばれる存在ですよね。以前は、テレビに出ているタレントやアーティスト、有名スポーツ選手といった人がインフルエンサーだったわけですが、最近はSNS発のインフルエンサーが非常に増えています。

SNSを始めとするソーシャルメディアの出現が、インフルエンサーマーケティングを普及させたことは間違いないでしょう。それに、デジタルネイティブ世代の先頭に立っている人たちが30代後半を迎えていますので、世の中の価値基準がウェブ起点で決まるようになってきているのも大きいですね。

それを聞いて思い出したのですが、このところ僕はとても手が痛いんですよ。周囲からは腱鞘炎を疑われているのですが、明らかに原因はスマホのいじり過ぎなんです(笑)。じゃあなぜスマホをいじっているのかと考えたら、YouTubeやTwitter、Facebook、Instagramにアクセスしているんです。以前なら、電話番号がすべて入っているからスマホを失くすと困ったわけなんですが、今はスマホがないと社会とつながっていないような気がして不安になるんです。

まさにその”気分”が、インフルエンサーマーケティングが脚光を浴びている理由の本質だと思います。昔なら、教室で一番目立ったり、おしゃれだったりした人が影響力を持っていたわけですが、今はそれがすべてソーシャルネットワークという仮想の世界に移ってきました。世の中全体もそうで、ウェブの世界で発信されていることが価値判断のベースになってきています。

その結果どうなったかというと、ソーシャルメディアを始めとするウェブの世界を見ながら「ほかの人が何をしているのか」「こういう場面ではどう振る舞えばいいのか」といったことを判断するようになってきました。言い方を変えると、昔よりはるかに他の人の動向に敏感になっています。いわば「ソーシャルプレッシャー」が非常に強い世の中に変わってきているんですよ。

ああ、その説明は非常にわかりやすいです。「ソーシャルプレッシャー」が強まった世の中に変わったからこそ、指針となるインフルエンサーが出現しやすくなっているんでしょう。しかも、ソーシャルメディアは誰でも気軽に参加できるから、誰もがインフルエンサーになれる可能性があります。つまり、ソーシャルメディアの発達によって、インフルエンサーマーケティングの土壌が自然に育ってきたというわけですね。

 

世界の中でもインフルエンサーの影響力が伝播しやすい国、日本

 

付け加えるならば、インフルエンサーマーケティングは国や地域によって効力が異なるんです。日本は、世界的に見て非常に有効な国のひとつです。

そうなんですね。詳しく教えてください。

日本は、ひとつのトレンドが発生すると、ものすごいスピードで伝播するんです。都心で何かが流行ったら、その情報はすぐ地方の隅々まで伝わりますよね。あとは、ブランド製品が好例ですが、それを持っていないと「時流に乗り遅れている」といった感覚が非常に強くなります。だから、何かが流行すると「みんなそれを持っている」状況になるわけです。実は、こうした現象は、ほかの国ではそんなに起こりません。たとえばアメリカは、音楽もファッションも全国的なトレンドになるまでに意外と時間がかかるんですよ。

なるほど。スマホの普及も、日本人のそうした特性を助長していると言えますね。現在、スマホ普及率は7割を超えているわけで、多くの人が日常的にYouTubeやSNSアクセスしています。テレビと違って能動的にチェックするわけですから、インフルエンサーの影響力が増していくわけですよね。

ソーシャルメディアとの接点が非常に濃くなってきているのは確かです。そうなると、ソーシャルの中で自分がどう写っているかが気になりますので、自分の位置を確認するためにソーシャルメディアにアクセスするようになります。裏を返せば、自己認識の中にソーシャルが出てくるわけで、先ほど鎌田さんがおっしゃったように、生活に欠かせない存在になってきています。

Facebookもそうですよね。日本ではつながっている友人に見てもらうためにやっている人が非常に多いです。ちょうど今日、社内でミーティングしていて面白いなと思ったのは、最近は主婦のYouTuberが増えているそうなんです。一昔前ならば、社会とつながるためにパートに出ていたのが、今はYouTubeで第三者に見られることで、収入と生きている実感を得るようになってきているんです。

 

ソーシャルの時代だからこそ求められる「消費の疑似体験」

消費に直結しやすいのも、インフルエンサーマーケティングが脚光を浴びている理由のひとつです。たとえば、今もっとも影響力のあるインフルエンサーとして知られるケンダル&カイリー・ジェンナー姉妹は、Instagramのフォロワー数が2人とも8,000万人以上。2人がどのようなアクションをするかによって、消費動向にかなり大きな影響を及ぼしますので、大げさではなく世界中が彼女たちの動向に注目しています。

それこそ、鳩山さんが翻訳された「ブロックバスター戦略―ハーバードで教えているメガヒットの法則」(アニータ・エルバース著)に書かれているブロックバスター理論(※)のことですね。かつてはロングテール戦略が一般的でしたけれども、今はほとんど語られなくなりましたし、ハリウッド映画も一極集中で予算が投入されるようになっています。

(※)ブロックバスター理論
限られたリソースを投入する際、一極集中で大型投資をするべきで、リスクが高いようにも見えるが、そうした集中が成功の確率を上げる、つまり「選択と集中」の理論。

結局は、影響力のある人がやっていることや、見ているものがより注目されるということなんです。だから、アメリカの大手企業はインフルエンサーマーケティング事業を展開している会社への投資を急ピッチで進めています。世界最大の売上額を誇る小売大手のウォルマートも、経営会議の場でインフルエンサーマーケティングをいかに活用するか議論している状況です。

振り返ってみれば、日本でもインフルエンサーマーケティングとは呼ばれていませんでしたが、インフルエンサーを活用したマーケティングはずっと行われてきています。アルファブロガーはブログの世界でのインフルエンサーだったわけですし、芸能人がアメブロで商品を紹介するのもインフルエンサーマーケティングでした。でも、日本は伝播力が強いこともあって、広告に対する忌避感が強いですよね。

だから、ステルスマーケティング(ステマ)が横行して、ペニーオークション事件が起こるなど、消費者を騙すようなことも起こってしまったわけです。

でも、最近はようやく広告でインフルエンサーを起用しても許容されるようになってきました。なぜならば、僕も含めた消費者が「消費の疑似体験」を求めているからだと思うんです。クチコミレビューだけではわからない体験をしたいから、たとえ広告だとわかっていてもYouTuberの動画コンテンツを見る人が多いんです。

ソーシャルメディアならではの”近さ”も影響しているでしょうね。お気に入りのYouTuberが現れて毎日そのチャンネルをチェックしていると、徐々に友だちのような存在だと感じるようになっていきます。近しい人が体験した商品やサービスを、自分も体験したいと思うのは自然なことですから、インフルエンサーマーケティングが消費に直結しやすいのは当たり前です。ソーシャルメディアに触れている人は、インフルエンサーとの距離の近さに慣れてきていますので、今後はより高い効果が期待できるのではないでしょうか。

 

YouTuberにマネジメント会社が必要だった理由

 

インフルエンサーが”近い”存在になってきていることは、「将来なりたい職業」ランキングにYouTuberがランクインしてきたことからも明らかです。(「中高生が思い描く将来についての意識調査2017」(ソニー生命保険)で「YouTuberなどの動画投稿者」が男子中学生の3位に)

数年前ならば考えられなかったことですが、身近になってきているとともに、存在価値が高まっていることの表れでもあります。まさに、先ほども出てきたブロックバスター理論のとおりなのですが、その意味では、日本の中で非常に早い時期から事業としてYouTuberなどのインフルエンサーをマネジメントしてきたUUUMには以前から注目していました。せっかくの機会なので鎌田さんにお聞きしますが、そもそもなぜマネジメントしようと考えたのですか?

昔、学校に行ったときや友だちに会ったとき、「昨日ひょうきん族見た?」「ごっつええ感じ見た?」とテレビ番組の話題を投げかけるのが普通だったじゃないですか。テレビのコンテンツが、多くの人たちの横串になっていたわけです。HIKAKINの動画に出会ったとき、同じように横串になれるコンテンツだと直感したのが大きかったですね。

でも、HIKAKINはそれだけの影響力を持っていながら、大手の代理店から仕事をもらったときにTシャツを何枚かしかもらっていなかったこともあったんです。確かに、日本では個人が企業と契約するのは非常に難しいですし、それがナショナルクライアントともなればなおさらです。ならば、僕が代わりに面倒な交渉事を引き受けようと思ったんです。

これは結構すごいことで、いち早くYouTuberのマネジメントの必要性に気付いたのが、結果的にUUUMの強みになっているんですよね。というのは、誰かをマネジメントするのは今まで芸能事務所の仕事だったんです。素人をマネジメントすること自体、誰も本気でやろうと思わなかったはずです。

しかも、活動しているのがソーシャルメディアですからね。出演しただけではまったくお金になりませんし。

ビジネスとしてマネタイズできるとは誰も思わなかったでしょうね。だから、なかなかチャンスすら掴めないファーストムーバーアドバンテージを獲得できたのでしょう。

ソーシャルメディアの台頭は大きいですね。昔は、有名になりたかったらテレビに出るのが一番の近道だったじゃないですか。でも、テレビはシンプルに言えば芸能事務所やテレビ局、広告代理店のトライアングルで成り立っている世界ですから、そこに入らなければチャンスも得られませんでした。でも、今は誰でも、ソーシャルメディア経由で注目を集める存在になれる可能性があります。注目を集めるからこそマーケティングの対象になり、お金も集まってくるわけです。

 

UUUMのクリエイターマネジメントが日々、力を注ぐこと

結果論としてはそうですが、ソーシャルメディアの特異性を理解していたからこそUUUMは成功したんだと思います。以前は、「コンテンツはプロがつくるもの」という考え方が定着していました。特に動画はそうでしたが、実はYouTubeというプラットフォームはむしろ素人がつくるコンテンツのほうが評価されているんです。それをしっかり理解し、適応したのがUUUMです。プロと素人の競争優位性を逆転させたわけで、まさにゲームチェンジャーとなったわけですね。

ものすごくほめられていますね(笑)。ありがとうございます。実際、テレビのように、今までのコンテンツは「見る側」と「つくる側」が明確に分かれていましたよね。でも、ソーシャルメディアならばすぐに「つくる側」になることができるので、「自分もやってみよう」と思ったときのハードルは圧倒的に低くなったと言えます。これは、レベルが下がったのではなく、クリエイティブの才能を持つ人が世に出やすくなったということなんです。そういう人を集めて、能力を引き出すのがUUUMのクリエイターマネジメントです。

ジャスティン・ビーバーも、YouTubeに動画をアップしなければ有名になっていませんからね。ピコ太郎も、ジャスティン・ビーバーが人気に火を付けたことを考えれば、インフルエンサーマーケティングの構造とその威力がわかります。この2人を築き上げたベースにあるのはYouTubeというソーシャルメディア。つまり、インフルエンサーとソーシャルメディアの2つが組み合わさることで、初めてインフルエンサーマーケティングは大きな効果を発揮できるのです。ですから、ソーシャルメディアの特性を理解し、4,000名以上のクリエイターを抱えてその才能を引き出すことに力を注いでいるUUUMが、インフルエンサーマーケティングのトップランナーとなっているのは当然のことかもしれませんね。

 

 

鳩山 玲人
鳩山 玲人 UUUM アドバイザリーボード
1974年生まれ。鳩山総合研究所代表取締役。元サンリオ常務取締役。青山学院大学を卒業後、三菱商事に入社。2008年にハーバード・ビジネススクールでMBAを取得。同年、サンリオに入社。サンリオで海外事業を拡大し、サンリオメディア&ピクチャーズ・エンターテインメントのCEOとして映画事業にも従事し、2016年6月に退任。DeNA、LINE、ピジョン、トランス・コスモスの社外取締役を歴任。2016年7月よりUUUMへ参画。
鎌田 和樹
鎌田 和樹 UUUM 代表取締役 / CEO
19歳で上場企業へ入社。出店担当として社長より直々に携帯電話ショップ出店を任命されテレコムサービス株式会社にてソフトバンクショップを単月100店舗出店。 ショップ運営、アライアンスなどさまざまな経験をつむ。2011年からはイー・モバイル一次店の代表取締役を務める。数々の功績を残した後、孫泰蔵氏との出会いから衝撃をうけベンチャーの道へ。その後、HIKAKINとの出会いをうけて30歳を手前に独立。

 

UUUMアドバイザリーボード・鳩山玲人 × UUUM代表取締役・鎌田和樹 スペシャル対談【後編】
「インフルエンサーマーケティングを成功に導く方法とは?コンテンツの作り方から、インフルエンサーの育て方まで」へ

 

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