スペシャルトーク

インフルエンサーマーケティングを成功に導く方法とは?コンテンツの作り方からインフルエンサーの育て方まで 〜鳩山玲人 × 鎌田和樹〜


鳩山玲人 × 鎌田和樹スペシャル対談【後編】

インフルエンサーマーケティングについて考える特別企画。前編では、ソーシャルメディアの浸透で以前よりはるかに他の人の動向に敏感になりやすい状況が生まれ、いわば”ソーシャルプレッシャー”が強まったことでインフルエンサーが出現しやすくなり、より効力を増すようになった経緯が明らかになりました。後編では、インフルエンサーマーケティングを成功させるための方法論を徹底追求。取り組む姿勢や、結果を生み出すコンテンツの作り方など、UUUMの事例を明らかにしながら、成功のために何が必要なのかを考察していきます。

 

ソーシャルメディアで影響力を持つには「両足を突っ込む」必要がある

最近、いろいろな人から相談を受けるんです。音楽レーベルさんが多いんですが、所属するアーティストを育ててほしいというんですね。「今、結構ネットでバズってるんですよ」と言われるんですが、僕は必ず「両足突っ込めますか?」と聞くようにしているんです。

数多くのYouTuberを育ててきた鎌田さんの言葉だから説得力が違いますね(笑)。スキマ時間にブログやTwitterをやるのと、ソーシャルメディアでインフルエンサーになるのは次元が違う話だということです。特に動画は、マーケティングの手法として現在もっとも注目されていますけれども、実はかなり難しいですよね。

難しいです。TwitterやFacebook、Instagram、YouTubeといったソーシャルメディアは、既存のメディアとは異なる発達のプロセスを経てきていますからね。そもそも、YouTubeはあまりにも素人の投稿が多すぎて、メディアになるとは思われていませんでしたから。

今でこそ、メディアとしての存在感が大きくなってプロも参入していますけれども、興味深いのは、それでも素人のコンテンツにフォロワーがつき続けて、マーケットとして出来上がっていったところなんです。若い世代が特にそうですけれども、プロの映像よりも素人の映像のほうに親近感やリアル感を覚えるようになっていったんですね。それが、いい意味での愛着に変わっていって、YouTuberの存在感が増していったという構図です。

YouTubeだけでなく、TwitterやFacebook、Instagramといったソーシャルメディア全般に言えることですけれども、結果的に「個人が頑張るプラットフォーム」になっていったんですよね。YouTubeも最初はプレミアムなコンテンツを配信していきたいと思っていたんでしょうけれども、権利の問題などもあって、結果的にそうなってしまったんです。重要なのは、個人が頑張れるし、すぐに「やる側」になれるプラットフォームだからこそ、「見る側」のハードルが高くなるということです。だから、「両足を突っ込む」覚悟で本気で取り組まないと、インフルエンスを与える存在にはなれないんですよ。

 

新たなマーケットにおいて、何が受け入れられるかを見極める”目利き”

 

覚悟が必要というのは本当にそのとおりです。お金の問題だけではありません。本来、動画の制作にはお金がかかります。テレビ番組やCMもそうですし、ハリウッドの映画制作費で100億円以下ということはないほどです。ところが、お金をかければ必ずヒットするわけでもなく、逆に、低予算の映画が大ヒットを飛ばすこともまれにあるんですよ。

そういうことってありますよね。低予算だから、変わった目線や手法を採用することで、今までになかったユニークな作品になったりします。

投資という点で考えれば、そういう作品が“おいしい”わけです。ファンドもそうですよね。もっとも安全なのは現金ですが、国債、株式とどんどんリスクの高い投資をしていくようになります。ハイリターンを期待する人は最終的にはベンチャーキャピタルやエンジェル投資に行き着くわけですよね。エンジェル投資なんて、100のうち1つ当たればラッキーというハイリスクな世界ですから、そんなに数は多くないですけれども、一定数の人が常にそこで勝負しています。

では、ハイリスクな世界でどうやって勝負するかというと、狙った業界にどっぷりと入って、ヒットするものが何かを見極めているんですよね。結果論では意味がないですから、人よりもなるべく早く見つけて、最高のセレクションができるように準備しているんです。

狙った業界で“目利き”になるということですよね。僕らのやっていることもそうかもしれない(笑)。

いや、UUUMはまさに、それを早くからやっていたんですよ。しかも、素人がマーケットを作り上げたプラットフォームで、何が受け入れられるかを見極めているのがすごい。プロのクリエイターの中から見出すよりも、素人の集団の中から見出すほうがはるかに難しいのは明らかですから。さらに、そうした特殊なプラットフォームに見合ったコンテンツを生み出しているからこそ、YouTubeを見ている人から支持され、YouTuberになりたい人が次々に集まってくるわけですし、インフルエンサーマーケティングの成果にもつながるわけです。「効果があるなら動画マーケティングをやってみよう」と気軽に取り組んで成果が出るほど簡単なことじゃないんですよね。

 

既存の手法に頼らなかったこそ生まれたYouTuberの真価

正直な話をすると、最初はYouTuberのマネジメントが事業化できるとは思っていませんでした。ただ、素晴らしいクリエイターであるHIKAKINをサポートしたいという思いだけだったんです。クリエイターが困っていることをいかに解決するか、としか考えていなかったので、ソーシャルメディアの世界にどっぷり入ることができたんでしょう。

鎌田さんが芸能事務所出身だったら、うまくいかなかったかもしれないですね(笑)。私はavexにもいたのでわかりますが、既存の芸能事務所では、UUUMのようなことはできなかったと思います。なぜなら、タレントをマネジメントする会社は、コンテンツの企画には関わるかもしれないけれども、実際の制作や編集はプロにまかせますよね。だから、YouTubeのようなデジタルプラットフォームが登場しても、何をどうすればいいかわからず、参入しきれませんでした。その点、UUUMはそこに最適なビジネスモデルをゼロから作り上げていって、おそらくは鎌田さん自身も気付かないうちに既存のビジネスモデルを破壊してしまったんです。

タレントをマネジメントする方法を知っていたら違ったでしょうね。おそらく、芸能事務所だったら最初に「アー写(アーティスト写真)を撮りましょう」から始めるんでしょうけれども、僕らは必要だとも思わなかったですから(笑)。今になって、プロフィールはあったほうが便利だなと思って作っていますけれども、最初からやっていたらうまくいかなかったかもしれません。

既存の手法に頼らなかったから、「タレント」じゃなく「YouTuber」という存在を生み出せたのだと思いますよ。「YouTuber」という言葉自体はUUUM以前からありましたけれども、「動画をYouTubeにアップしている人」という意味でしかありませんでした。それを、「魅力あるコンテンツを生み出し、しっかりと稼げるクリエイター」という“概念”にまで押し上げたのは、YouTuberが評価される環境を整えたUUUMの功績です。だからこそ、(前編で出たような)主婦のように従来なら表に出てこなかった人たちが、インフルエンサーになれる可能性が出てきましたし、子どもたちが「なりたい職業」として目指す存在になったのでしょう。このことは、日本のインフルエンサーマーケティングの歴史上でエポックメイキングなことだと思います。

そういう意味ではUUUMが素人のYouTuberからプロのインフルエンサーに転換させるお手伝いをしているという言い方をできるかもしれません。

 

上下関係ではなくYouTuberたちの「仲間」として注ぐ愛情

今まで話してきたように、マーケティングの面から見ても、コンテンツの企画・制作という面から見ても、UUUMはゲームチェンジを起こしてきました。でも、身近で見ていて思うのは、デジタルプラットフォームでの戦い方を熟知しているのに、アナログなアプローチを大切にしていますよね。特に、YouTuberやコンテンツに対する姿勢は非常に真摯で忠実。愛情が感じられます。

確かに、すごく愛情は注いでいます。もしクリエイターが風邪を引いたら、僕らは即座に風邪薬とか経口補水液とかをダンボール数箱分送ります。いや、実際はそこまでしないですよ(笑)。しないですけれども、ただ「お大事に」というメッセージを伝えるだけじゃなくて、クリエイターへの気持ちをしっかり形にして伝えるということを大切にしています。今、クリエイターと言いましたけれども、実は僕らはYouTuberとは呼ばないんです。あくまでもコンテンツの作り手としてリスペクトするから、クリエイターと呼んでいます。

そういう繊細な部分を気にするのは重要なことですよね。「クリエイターファースト」の姿勢をしっかりと打ち出しているから、彼らも安心してマネジメントを任せられるのではないでしょうか。

でも、クリエイターに媚びているわけじゃないんですよ。確かに、彼らのサポートは全力で行ないます。権利処理をした音源などの素材もふんだんに用意していますし、コンテンツに関するノウハウも提供します。それは、クオリティの高いコンテンツを生み出し続けたいからだし、楽しんでくれるファンの期待に応えたいからなんです。

マネジメントの姿勢も、従来の芸能事務所とは違いますよね。「マネージャー」ではなく「バディ」と呼んでいることが象徴的だと思います。

「バディ」は、かなりこだわっている部分なんですよ。役割としては、マネジメントするわけですから「マネージャー」なんですが、どうも語感が好きになれなくて。というのは、芸能界で「マネージャー」というとタレントさんよりも下に位置している印象がありませんか? 実際には違うかもしれませんが、少しでもそういうニュアンスがある言葉は使いたくないんです。だって、日常的に使われていると、どこかでそう受け止められる可能性がありますよね。そうしたリスクは、できる限り排除しておきたいんです。

もちろん、「バディ」という呼称を採用したのは、そういった後ろ向きな理由だけではありません。僕らは、クリエイターとどちらが上か、下かという関係でなく、横で伴走する仲間でありたいんです。その思いを常に持ち続けたいからこそ、たかが肩書きですけれども、決して譲れない部分なんです。

 

クリエイターが成長を実感する機会となるリアルイベント

 

「バディ」としてのUUUMと、「クリエイター」としてのYouTuberがしっかりとした信頼関係を築いているのが、上質なコンテンツを生み出す源泉となっていますよね。さらに、ユーザーとの関係をしっかり構築しているのが大きいです。UUUMは約1万人が集まる「U-FES.」や「う祭」のようなユーザー参加型のリアルイベントを開催していますが、そういうイベントに参加すると、バディとクリエイター、ユーザーが一体となって一大コミュニティを生み出しているということが体感できます。

イベントは、ユーザーにとっては高まっていく熱を発散できる場になっていますが、クリエイターにとっても、毎日コメントでやりとりをしているユーザーと触れ合える貴重な場なんですよ。触れ合って、ユーザーの熱を直に感じることで成長を実感できるんです。

ニコニコ超会議もそうですよね。リアルなイベントをやることで「ニコニコ動画ってやっぱりいいよね」とみんな再認識できて、イベントに参加する前よりも自分にとってワンランク上の存在になっていきます。

クリエイターにとっては、そうしたユーザーの反応を直接受け止めることで、体現的な評価が受けられるわけです。再生回数やコメントを見ればユーザーの反応はわかるんですが、クリエイター本人にとっては毎日やっていると、本当に評価されているのかわからなくなっていくんですよね。

そうした意味でも、UUUMのような会社の存在意義は大きいんですよ。どれだけ才能があるクリエイターでも、自分のチャンネルの価値を相対的に判断するのは限界がありますが、ソーシャルメディアの世界を熟知し、クリエイターとユーザーのニーズをしっかり押さえている会社が親身にアドバイスしてくれることで、評価されるコンテンツを生み出し続けられるんじゃないでしょうか。

 

成功の秘訣はロジックで説明しきれない「思想」を昇華させた独自のクリエイティブ

ユーザーのニーズを押さえている、と言いましたけれども、実はソーシャルメディアでそれをやるのは簡単ではありません。なぜなら、YouTubeもTwitterもFacebookもそうですけれども、ソーシャルメディアは画一的に解釈するのが非常に難しいんです。参加している人たちがそれぞれのネットワークを作り上げているから当然なのですが、何が問題かというと、マーケティングで重要な効果測定がしづらいんですよ。

確かに、効果測定は難しいですね。だから、YouTubeだったら再生回数やチャンネル登録者数、TwitterやInstagramだったらフォロワー数の多い人を起用してインフルエンサーマーケティングしようとする人が多いんだと思います。僕らもいろいろな企業さんからご依頼をいただくとき、「このYouTuberがいい」と指名されます。でも、僕らが持っているデータと照らし合わせると、ほとんどの場合はターゲットと合っていないんですよ。

いくらチャンネル登録者数やフォロワー数が多くても、ターゲットとズレていたら意味がありませんからね。ソーシャルだからこそ、ニュアンスを丁寧に拾っていかないと適切なデータを抽出することすらできません。その見極めが的確にできるのがUUUMの優位性ですし、だからこそ多種多様な業界の企業のインフルエンサーマーケティングを成功に導くことができているんじゃないですか。

そう言ってもらえるのは本当にありがたいですが、どうしてその見極めができるのかを説明するのはちょっと難しいですね。隠すわけではなくて、それこそニュアンスの部分なので、うまく説明できないんです(笑)。

それは仕方ないですよ。「おいしいラーメンの作り方が知りたい」と思って同じ材料とレシピを入手しても作れないのと同じです。業界のトップランナーはどこもそうです。たとえばZARAも、ファストファッションが大流行したとき、本当に多くの企業が真似をしてSPA方式(※1)を導入しました。でも、結局どこもZARAを追い越すことはできていないんです。トヨタの生産方式(※2)も、たくさんのコンサルタントが工場に行って真似しようとしていますが、結局追い越す企業は出てきていません。UUUMも同じで、ロジックで説明しきれない「思想」をクリエイティブに昇華しているからこそ、他社がなかなか追いつけないのでしょうし、これからもゲームチェンジャーであり続ける“資格”を持っているのだと思いますね。

(※1)SPA方式
SPA(Speciality Store Retailer of Private Label Apparel)とは、アパレル分野を中心として、小売業が製造の分野まで踏み込み、自社のオリジナル商品の開発を行い自社で販売する方法。 SPAで有名なブランドに、ZARAやユニクロなどが挙げられる。

(※2)トヨタの生産方式
トヨタ自動車の生み出した、工場における生産活動の運用方式の一つ。現在では多くの企業がこれにならった方式を取り入れており、工場等の製造現場やそれに付随するスタッフ部門だけでなく、間接部門でも取り入れている企業も見られる。

確かに、僕らはロジックだけでインフルエンサーマーケティングに取り組んではいません。アナリティクスのデータ分析も細かくやっていますけれども、数値を追いかけることだけを重視してはいません。大切なのは、上質なコンテンツを生み出したいという気持ちですし、クリエイターやコンテンツ、そしてバディとしてクリエイターと伴走する社員に対して愛情を注ぎ続けることです。僕らはそれを社風だと考えていますけれども、もしかしたらそれが、鳩山さんがおっしゃる「思想」なのかもしれませんね。

 

クリエイターを生み出すサイクルを回していく、という役割

UUUMの抱えるクリエイターの数が4,000人以上というスケールメリットも、見逃せないところです。一般的に、エンタメビジネスは3割当たれば上出来と言われていますけれども、4,000人の3割、1,200人が強力なインフルエンサーになると考えると驚異的です。しかも、様々なパターンの事例がありますから、ノウハウの幅もどんどん広がり、新たなチャレンジもしやすくなるという好循環が生まれます。

おっしゃるとおり、クリエイターの数の多さは、インフルエンサーマーケティングを成功させるカギのひとつでしょうね。テレビの番組や映画もキャスティングが大切だと思いますが、僕らがコンテンツを制作するときも、同じことができるわけです。一人ひとりのクリエイターの個性を生かし、マーケティングのターゲットに合わせたコンテンツの企画・編集ができるのは、僕らの強みですね。

海外のMCN(マルチチャンネルネットワーク)は、抱えるクリエイターの数も多いですけれども、映像クリエイターもたくさんいるので、YouTuberにコンテンツを作らせるよりも、プロジェクトとのマッチングをするケースが多いんです。言わば、クリエイターに依存する経営スタイルですが、UUUMは全てをクリエイターに依存している訳ではないですよね。同時にコンテンツフォーマットを生み出し、その中でもクリエイターの才能を伸ばそうとしているんだと思います。

そうですね。クリエイターを生み出すサイクルを、スムーズに回していくのがUUUMの役割のひとつだと考えています。UUUMのクリエイターが制作した動画を見て「私もYouTuberになりたい」と思った人をサポートしていく。そのサイクルを途絶えさせないことで、どんどんインフルエンサーが生まれ、さらに新しいことができます。今はYouTubeやTwitter、Instagramなどのプラットフォームを活用していますが、いずれ縦横に展開しようとしたときに蓄積したノウハウが役立つと思っています。

そのあたりのトレンドを的確に捉える感覚が、鎌田さんは鋭いですよね。今後、デジタルコンテンツは増える一方ですので、どこまでUUUMが進化していくのか私も楽しみです。いずれにしても、インフルエンサーマーケティングを成功させたい人にとって、UUUMは動向を注視するべき存在であることは間違いないでしょうね。

 

 

鳩山 玲人
鳩山 玲人 UUUM アドバイザリーボード
1974年生まれ。鳩山総合研究所代表取締役。元サンリオ常務取締役。青山学院大学を卒業後、三菱商事に入社。2008年にハーバード・ビジネススクールでMBAを取得。同年、サンリオに入社。サンリオで海外事業を拡大し、サンリオメディア&ピクチャーズ・エンターテインメントのCEOとして映画事業にも従事し、2016年6月に退任。DeNA、LINE、ピジョン、トランス・コスモスの社外取締役を歴任。2016年7月よりUUUMへ参画。
鎌田 和樹
鎌田 和樹 UUUM 代表取締役 / CEO
19歳で上場企業へ入社。出店担当として社長より直々に携帯電話ショップ出店を任命されテレコムサービス株式会社にてソフトバンクショップを単月100店舗出店。 ショップ運営、アライアンスなどさまざまな経験をつむ。2011年からはイー・モバイル一次店の代表取締役を務める。数々の功績を残した後、孫泰蔵氏との出会いから衝撃をうけベンチャーの道へ。その後、HIKAKINとの出会いをうけて30歳を手前に独立。

 

UUUMアドバイザリーボード・鳩山玲人 × UUUM代表取締役・鎌田和樹 スペシャル対談

【前編】インフルエンサーマーケティングが脚光を浴びる理由とその影響力
【後編】インフルエンサーマーケティングを成功に導く方法とは?コンテンツの作り方から、インフルエンサーの育て方まで

 

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